”物語”は児童英語4技能に活路を開きます

語りの世界

ものがたりの語り手と聞き手の関係

多くの場合、”ものがたり”の形式は一つの場所で、一人の語り手に複数の聞き手が向かい、語り手と聞き手の間で共通の物語を楽しむ関係で成り立っています。それはひとつの物語から生まれ出る想像・思考を語り手と聞き手の間で交わし合うという縦の関係で存在しています。

向かい合うという形式で、語り手側は聞き手側の心の動きを見たり、感じたりします。聞き手側も語り手のことばや動作に意識が集中し、その”ものがたり”の中に引き込まれて、いつしか、その”ものがたり”の主人公(登場人物)と化していくのです。

しかしそこには、その場所に集った聞き手の数だけ異なった心の働きが存在し、様々な想像、思い、考えが生まれています。それらを語り手と聞き手という縦の関係からさらに発展させて、聞き手同志の横の関係で、思考・想像を交わし合うことができれば、そこで生じる摩擦は、ひとりひとりの初めの思考・想像に活力を注ぎ、個々の異なった心の動きがぶつかり合ってエネルギーが発生し、互いの思考・想像が拡大し、さらにその”ものがたり”を深くとらえようとする意識が芽生えます。そこには一つの物語が作り出す横の交流(コミュニケーションを作り出す環境)が存在しているのです。

この”ものがたり”の世界は教室で展開することができます。

教師を”らく”にする教壇のない教室 
Skit・Story(物語)活動

物語人体表現法はCommunicationの環境で思考力、想像力、自己表現力(4要素)を作り、4技能に活路を開きます。

今教育界では児童期からReading, Listening, Speaking, Writing の4技能が課題とされ、そこでは思考・想像・自己表現力・コミュニケーション能力の4要素が求められています。この4つの要素を取り入れながら4技能をどのようにして実現できるでしょうか。ヒントは“物語”が持っていました。

4技能と4要素を接着させる働きに物語人体表現法があります。

人体表現法を取り入れて物語を展開することで4技能4要素に活路を開きます。“ことば”が“こころ”と“からだ”に一致した表現を目指す活動です。

物語はツール

物語人体表現法を教室に持ち込むことで“横の交流”(コミュニケーションの世界)が生まれます。児童の英語教科において、“物語人体表現”はReading, Listening, Speaking, Writing の4技能と思考・想像・自己表現・コミュニケーションの4要素を媒体する環境を作り出すことができます。Skit・Story(物語)はまさにコミュニケーションの環境の中で、思考・想像・自己表現を作り出すツールです。

4技能4要素は“ことば・こころ・からだ”の一致活動

一つのSkit・Story(物語)を共有し、それを基にCommunicationすることで、互いのSkit・Story(物語)に対する思考を広げ、想像を膨らませ、“ことばとこころとからだ”を一つにする、これが物語人体表現活動です。人体の動きをことばとこころに一致させる作業です。ゴールは劇形式の発表です。

”劇”といいますと、「恥ずかしがらずに人前ではっきりと英語が言えることはどれだけ児童の自信になるだろう」と考える教師の永遠の願いですが、時には生徒のプレッシャーにもなります。

演劇ということばは“演じなくては”ということばのイメージがついつい先だって、結果を早くもとめようとする意識が働いてしまいます。コミュニケーションの欠如、思考・想像の不足状態は体の動きを失う状態を作りやすくします。

“物語人体表現活動”ということばは物語をことばとこころと人体で一致させようとする工程で、互いに意識を交わし合うこと(Communication)に重点を置いた活動を言います。“演じる”はその結果です。

“演じる”はこの物語を自分たちのものとしてどのように考えたかの結果を表現している状態を言います。4技能4要素を課題とした活動に、ここでは、あえて物語人体表現活動ということばを使います。

真似の術・変身の術

テキスト言語を”真似る”、Skit・Story(物語)の登場人物に変身するなど、物語人体表現活動はまさに真似の術・変身の術と言えるでしょう。自己解放する心地よさを無意識に感じ取っていくかも知れません。真似の術・変身の術は模索を繰り返すことで生まれてきます。基になっているSkit・Story(物語)をひも解いて、ことばとこころをいかにからだと同化させようとするか、それはまさに真似の術・変身の術です。

物語人体表現法のメリット

物語人体表現活動はすでに体験した物語を再現するということもあるでしょう。又将来出会うかもしれない出来事を物語を通して先に体験するという面白さがあります。英日Skit・Story(物語)を人体表現で先に体験するということは、実際その場面に出くわしたときに、かって体験した場面が甦って、ことばを発するということが起こりえます。ことばを心に刻んで体に送り込んでおくという体験はそういう意味でメリットがあります。

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